医療痩身で何キロ痩せる?治療別の減量幅の目安と数値の見方を解説
「医療痩身では何キロ痩せられるのか」を具体的な数字で知りたい方は多いはずです。医療痩身には、体重そのものの変化を目的とする治療と、体重ではなくお腹や太もものボリュームなど局所の変化を目的とする施術があり、公表されている数値の意味も異なります。この記事では、公的な資料で確認できる範囲の数値を条件とあわせて紹介し、数字を読むときの注意点を整理します。治療にかかる期間の目安については『医療痩身 何ヶ月』で詳しく解説しています。
この記事の要約
- 医療痩身は治療によって評価する指標が異なり、一律に「何キロ痩せるか」を示せるわけではありません。
- 体重の変化を目的とする薬物療法と、脂肪層の厚みなど局所の変化を目的とする施術では、公表される数値の種類が違います。
- 臨床試験で報告されている体重変化の数値は、対象者の条件や食事療法・運動療法の実施状況によって左右されます。
- 平均値や割合などの数字を見るときは、比較対象・条件・調査時点・出典が示されているかを確認することが大切です。
- 減量幅には個人差があり、目標は体重だけでなく健康面や見た目の変化も含めて医師と相談しながら決めることが望まれます。
医療痩身で減る体重は治療によって異なる
「医療痩身で何キロ痩せられるか」という問いに、一律の数字で答えることはできません。医療痩身には体重そのものの変化を目的とする治療と、体重ではなく局所のボリュームの変化を目的とする施術があり、評価される指標がそもそも異なるためです。まずこの違いを理解することが、公表されている数値を正しく読む出発点になります。
医療痩身で測れる治療と測れない施術
医療痩身で扱われる治療・施術は、体重という数字で結果を捉えられるものと、体重では捉えられないものに分かれます。次の表で、それぞれが主に働きかける対象と、評価に使われる指標の違いを整理します。
| 治療の種類 | 主に働きかける対象 | 評価される指標 |
|---|---|---|
| 薬物療法(GLP-1受容体作動薬など) | 全身の体重・体組成 | 体重の変化率、一定割合以上の体重減少を達成した割合など |
| 脂肪冷却(脂肪冷却機器を用いた施術) | 部分的な皮下脂肪層 | 脂肪層の厚みの変化、施術前後の写真による外観評価 |
| 食事療法・運動療法を中心とした生活指導 | 全身の体重・体組成 | 体重の推移、継続状況 |
脂肪冷却機器は、添付文書の使用目的において「部分的に皮下脂肪を冷却し、減少させる装置であり、体重の減少を意図するものではない」とされています。体重の変化を目的とする治療と、局所の変化を目的とする施術を混同しないようにしましょう。
医療痩身の薬物療法で報告されている減量幅はどれくらい?
医療痩身で用いられる薬物療法のうち、肥満症の治療薬として国内で承認されている薬剤については、臨床試験の結果が公的な資料で公表されています。ここで紹介する数値は、承認された対象・用量・投与期間の範囲で得られた結果であり、美容目的での使用にそのまま当てはめられるものではない点にご注意ください。
日本人を含む臨床試験の結果
高血圧・脂質異常症または2型糖尿病を有する日本人および韓国人の肥満症患者を対象とした国際共同第III相試験では、セマグルチド2.4mg群において、投与68週時までの体重変化率は平均マイナス13.4%と報告されています。また、5%以上の体重減少を達成した割合は82.9%、10%以上は60.6%、15%以上は40.9%とされています。これらは、食事療法・運動療法のカウンセリングをあわせて実施した条件下での結果です。
「5%以上の減量」が指標とされる理由
肥満症治療薬の臨床試験では、5%以上の体重減少を達成した被験者の割合が、主要な評価項目の一つとされています。これは、減量の目的が見た目の変化だけでなく、血圧や血糖・脂質など健康障害の改善にもあるためです。なお、日本肥満学会の診療ガイドラインが示す減量目標の数値については、本記事の調査時点で一次情報を確認できていないため、具体的な数字での断定は避けます。
試験の数値はそのまま当てはめられない
臨床試験で報告された数値は、組入れ条件となったBMIや合併症の有無、あわせて実施された食事療法・運動療法の内容、投与期間、途中で中止した被験者の扱いなど、さまざまな条件のもとで得られたものです。条件が異なれば結果も変わるため、「この数値と同じだけ痩せられる」と読み替えることはできません。
医療痩身の局所に働きかける施術で報告されている変化
体重ではなく、部分的な皮下脂肪の厚みなど局所の変化を目的とする施術についても、報告されている数値を確認しておきましょう。
脂肪冷却機器を用いた海外での臨床試験では、腹部への施術後16週目に、脂肪層の厚みが平均1.9mm減少したと報告されています。また、施術前後の写真を評価者が正確に識別できた割合は85.3%とされています。この試験の対象は60例(アジア人2例)であり、体重ではなく脂肪層の厚さの変化を評価したものである点に注意が必要です。
医療痩身の減量幅に関する注意点
医療機関のウェブサイト等で紹介される平均値や最大値は、それだけを見て他院の実績と比較できるものではありません。数字を読むときは、対象者の条件、期間、実施したプランの内容が示されているかどうかを確認しましょう。
比較や数値を扱う際は、比較対象・条件・調査を行った主体・調査時点・範囲・出典が明示されているかを確認することが原則です。この記事でも、特定のクリニックの実績を名指しして比較することは避けています。
短期間で大きく減らすことのリスク
短期間で体重を大きく減らすことには、体調面でのリスクも伴います。高度肥満症(肥満度+70%以上またはBMI35以上)を対象とする内服薬であるマジンドールの添付文書では、急激な減量による心血管系合併症のリスクを避けるため、投与中は体重の推移に注意することとされています。
医療痩身を検討する際は、短期間での大きな変化だけを目的にせず、体調の変化を医師と共有しながら進めることが大切です。
減量幅に個人差が出る要因は何?
医療痩身で得られる減量幅には個人差があります。個人差が生じる主な要因には、次のようなものがあります。
- もともとの体重や体組成
- 高血圧・脂質異常症・糖尿病等の合併症の有無
- 食事療法・運動療法の実施状況
- 選択した治療の種類と治療期間
医療痩身による減量・ダイエットの目標の立て方
医療痩身の目標は、体重の数字だけで決めるものではありません。血圧や血糖値など健康面の改善を重視するのか、体重は大きく変えずに見た目の変化を重視するのかによって、選ぶ治療や評価の仕方も変わります。
何を目的に治療を受けるかは、診察で体の状態を確認したうえで、医師と相談しながら決めていくことが望まれます。この記事で具体的な数値目標を示すことはできませんが、目的を明確にすることが治療選びの土台になります。
医療痩身に関するよくある質問
医療痩身の減量幅について、よく寄せられる疑問をまとめました。
1ヶ月で10kgのように大きく痩せることはできますか?
特定の期間でどれだけ痩せられるかを保証することはできません。公表されている臨床試験の数値も、条件を満たした被験者について一定期間観察した結果であり、短期間での急激な減量は体調面のリスクにもつながります。医師の管理のもとで、無理のないペースを相談することが大切です。
体重が変わらないのに見た目が変わることはありますか?
体重の数字がほとんど変わらなくても、脂肪層の厚みなど局所の変化によって見た目の印象が変わることはあります。脂肪冷却のように、体重の減少ではなく部分的な脂肪層への変化を目的とする施術では、体重ではなく写真評価などによって変化が確認されています。
医療痩身の効果を実感できるまでの期間はどれくらいですか?
治療の種類や個人の状態によって異なり、この記事だけで一律の期間を示すことはできません。期間の目安については『医療痩身 何ヶ月』で詳しく解説していますので、あわせて確認してください。
公表されている減量幅の数値は誰にでも当てはまりますか?
そのまま当てはまるとは限りません。臨床試験の数値は、組入れ条件や併用した食事療法・運動療法などの条件下で得られたものです。自分自身にどの程度の変化が期待できるかは、診察で体の状態や治療内容を確認したうえで医師に相談してください。
まとめ
医療痩身で「何キロ痩せられるか」は、治療によって答え方が変わります。体重そのものの変化を目的とする薬物療法と、脂肪層の厚みなど局所の変化を目的とする施術では、評価される指標が異なるためです。
公的な資料では、条件を満たした臨床試験の対象者について、体重変化率や一定割合以上の減少を達成した割合、脂肪層の厚みの変化といった数値が報告されていますが、いずれも組入れ条件や食事療法・運動療法の実施状況などの条件のもとで得られた結果です。そのまま自分自身の結果として当てはめることはできず、短期間で大きく減らすことには体調面のリスクも伴います。数字の比較だけでなく、健康面や見た目の変化も含め、何を目的に治療を受けるかを医師と相談しながら決めていくことが大切です。
参考・出典
PMDA最適使用推進ガイドライン セマグルチド(ウゴービ皮下注) https://www.pmda.go.jp/files/000281140.pdf
PMDA最適使用推進ガイドライン チルゼパチド(ゼップバウンド皮下注) https://www.pmda.go.jp/files/000280607.pdf
PMDA添付文書 マジンドール(サノレックス) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/400022_1190008F1020_4_04
PMDAクールスカルプティング(脂肪冷却機器)添付文書一式 https://www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/112130/22900BZX00410000_A_02_01/