ダーマペンとフラクショナルレーザーの違いを比較解説
ダーマペンは微細な針で肌に小さな穴をあけて創傷治癒の働きを利用する施術、フラクショナルレーザーは熱エネルギーで皮膚の一部を蒸散・凝固させる施術です。
同じニキビ跡や毛穴の悩みに用いられることがありますが、肌に働きかける仕組みは異なります。
どちらが優れているかは症状やダウンタイムの許容度によって変わるため、一概には言えません。
この記事では両者の違いを整理します。
この記事の要約
- ダーマペンは微細な針を皮膚に刺し、その刺激による創傷治癒の働きでコラーゲン生成を促す施術です。
- フラクショナルレーザーは熱エネルギーで皮膚をごく小さな点状に蒸散・凝固させ、入れ替わりを促す施術です。
- 陥凹性のニキビ跡に対して両者とも選択肢となり得ますが、どちらが優れているとは断定できません。
- ダウンタイムや副作用の出方、費用や通院回数の目安には違いがあり、事前の確認が欠かせません。
- 施術の選び方は、症状の種類や肌質、許容できるダウンタイムなどによって変わってきます。
ダーマペンとフラクショナルレーザーの仕組みの違い
ダーマペンとフラクショナルレーザーは、どちらも肌に微細な刺激を与えて再生を促す施術ですが、その仕組みはまったく異なります。まずは基本的な違いを見ていきましょう。
| 項目 | ダーマペン | フラクショナルレーザー |
|---|---|---|
| 刺激の与え方 | 極細の針を皮膚に一定の深さで刺す物理的な刺激 | 熱エネルギーで皮膚をごく小さな点状に処理する |
| 肌への働きかけ方 | 刺激をきっかけに創傷治癒の過程を利用し、コラーゲンなどの生成を促す | 高温で処理した部分の組織を新しい組織に入れ替える |
| 熱の有無 | 熱をほとんど使わない | 熱による作用がある |
「小さな傷をつけて肌の再生力を引き出す」という発想が根底にある点は共通していますが、針による物理的な穿刺か、熱による組織処理かという手段の違いが、後述する効果やダウンタイムの違いにもつながっています。
効果が期待できる症状の違い
ダーマペンとフラクショナルレーザーは、いずれも陥凹性のニキビ跡や毛穴の目立ちなどに使われることがある施術です。ただし、効果の現れ方には個人差があります。
陥凹性ニキビ跡に対しては、ダーマペンとフラクショナルレーザーのどちらも選択肢の一つとなり得ますが、どちらが優れているかを断定できるだけの根拠は十分ではありません。フラクショナルCO2レーザーを対象としたメタアナリシスでは、臨床的な改善度や医師・患者による評価、炎症後色素沈着の頻度において、CO2レーザー以外のレーザーとの間に統計学的な有意差は認められなかったと報告されています。
また、機器によって得意とする症状には幅があり、毛穴の開きや肌質の変化を主な目的とすることもあれば、色素沈着など幅広い肌悩みに用いられることもあります。実際にどのような改善が期待できるかは症状の種類や程度によって異なるため、診察を受けたうえで医師に確認することが必要です。
ダーマペンとフラクショナルのダウンタイム・副作用の違い
ダーマペンとフラクショナルレーザーでは、ダウンタイムや副作用の出方にも違いがあります。ここでは施術ごとの特徴を整理しますが、実際の経過には個人差があります。
| 項目 | ダーマペン | フラクショナルレーザー |
|---|---|---|
| ダウンタイム中に起こりうる症状 | 赤み、腫れ、点状の出血 | 赤み、腫れ、皮膚の乾燥や落屑 |
| 色素沈着のリスク | 熱を使わないため比較的低いとされる | 熱による炎症後色素沈着が起こることがある |
| 症状の出方の個人差 | 肌質や施術部位によって差がある | 肌質や機器の出力設定によって差がある |
日本皮膚科学会の尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023では、痤瘡あるいは痤瘡瘢痕に対するレーザー治療の推奨度はC2(現時点では推奨しない)とされています。一方、ダーマペンのようなマイクロニードリングについては、そもそも独立したクリニカルクエスチョンが設けられていません。いずれの施術も、現時点で標準治療として確立しているとまでは言えない位置づけです。
費用・施術頻度の違い
ダーマペンとフラクショナルレーザーは、いずれも自由診療で行われる施術です。費用は医療機関や使用する機器、施術範囲、回数によって幅があります。
一般に、ダーマペンは1回あたりの費用が比較的抑えられる場合が多く、フラクショナルレーザーは機器の種類や照射範囲によって費用の幅が大きくなりやすい傾向があります。ただし具体的な金額は医療機関ごとの設定によって異なるため、事前のカウンセリングで見積もりを確認することが欠かせません。施術回数についても、瘢痕の種類や深さ、使用する機器の出力などによって変わるため、根拠なく「〇回で改善する」と断定することはできません。
ダーマペンとフラクショナルレーザーの施術の選び方
ダーマペンとフラクショナルレーザーのどちらが適しているかは、症状の種類や肌質、許容できるダウンタイム、費用など複数の要素によって変わります。
- 症状の種類(陥凹性ニキビ跡、毛穴の開き、色素沈着など)
- 肌質や敏感肌かどうか
- 仕事や外出の予定に合わせて許容できるダウンタイムの長さ
- 通院にかけられる回数や期間
- 施術にかけられる費用
どの要素を優先するかによって適した施術は変わるため、フラクショナルレーザーの方が一律に効果が高いといった優劣で選ぶのではなく、医師との相談を通じて肌の状態に合った施術を検討することが大切です。
ダーマペンとフラクショナルレーザーの併用は可能か
ダーマペンとフラクショナルレーザーを組み合わせて用いる医療機関もありますが、併用の可否や適切な間隔は肌の状態や治療計画によって異なります。
両方の施術を近い時期に行うと、肌への負担が重なりやすくなるため、通常は施術の間隔を空けるなどの配慮が必要です。併用を検討する場合は、それぞれの施術の目的や見込まれる変化、ダウンタイムが重なる可能性について、担当医とよく相談したうえで判断することが望まれます。
よくある質問
ダーマペンとフラクショナルレーザーについて、施術を検討する際によく寄せられる疑問をまとめました。
ダーマペンとフラクショナルレーザーはどちらが痛いですか?
痛みの感じ方には個人差があり、施術の設定や部位によっても変わります。ダーマペンは針の深さや速度、麻酔の方法によって痛みの感じ方が変わります。フラクショナルレーザーは熱による刺激があり、機器の出力によって感じ方が異なります。どちらの施術でも麻酔クリームなどで痛みを和らげる工夫がされることが多いため、不安がある場合は事前に医師へ相談することをおすすめします。
まとめ
ダーマペンとフラクショナルレーザーは、針による物理的な刺激か、熱エネルギーによる組織の処理かという点で仕組みが異なる施術です。
陥凹性ニキビ跡など重なる適応症状もありますが、日本皮膚科学会のガイドラインでもレーザー治療は推奨度C2にとどまり、マイクロニードリングについては独立した評価項目自体が設けられていないなど、どちらも標準治療として確立しているとまでは言い切れません。
ダウンタイムや副作用の出方、費用、施術頻度にも違いがあるため、一律にどちらが優れているとは言えず、症状の種類や肌質、生活スタイルに合わせて選択肢を検討することが大切です。
気になる点があれば、施術前のカウンセリングで機序や見込まれる変化、リスクについて確認しておくと安心です。
参考・出典
日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/zasou2023_230820.pdf
The efficacy of fractional CO2 laser in acne scar treatment: A meta-analysis(PubMed) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33190373/