医療痩身でリバウンドは起こる?体重が戻る理由と治療後に必要なこと

医療機関で行う痩身治療なら、体重は戻らないと考えて検索する方も少なくありません。しかし、医療痩身として行われる治療であっても、治療を終えたあとに体重が戻ることはあります。この記事では、体重が戻る理由や治療の種類による違い、「リバウンドしない」という説明を読むときの注意点、治療中からできる取り組みを整理します。

この記事の要約

  • 医療機関で行う痩身治療でも、治療を終えたあとに体重が戻ることは起こり得ます。
  • 体重が戻る背景には、薬の作用がなくなること、代謝の変化、生活習慣が治療前に戻ることなどが関わります。
  • 体重全体に働きかける薬物療法と、局所の脂肪の厚さに働きかける施術では、リバウンドの考え方が異なります。
  • 「脂肪細胞の数が減るから戻らない」といった説明は、根拠と条件を確認する視点を持つことが大切です。
  • 治療をいつ終えるか、体重が戻ってきたときにどうするかは、自己判断ではなく医師に相談することが基本です。

医療痩身でもリバウンドは起こりうる

医療機関で行う痩身治療だからといって、体重が戻らないと保証されているわけではありません。薬物療法や施術を受けたあとであっても、治療を終えて元の生活に戻れば、体重が再び増えることがあります。この記事では、体重が戻る理由と治療の種類による違い、「リバウンドしない」という説明を読むときの注意点を整理します。

医療痩身治療後に体重が戻る理由

体重が治療後に戻る背景には、いくつかの要因が関わっています。特定の行動や意志の強さだけが原因ではなく、体の仕組みや生活環境の変化が影響します。

治療をやめると薬の作用がなくなる

肥満症に対する承認薬は、食欲や血糖に関わるホルモンの働きに作用して体重に影響します。投与を終えれば、その作用も次第に失われていくため、治療前の状態に近づいていくことがあります。

体重が減ると代謝が変わり消費エネルギーも変化する

体重が減ると、同じ活動量でも消費するエネルギーは以前より少なくなる傾向があります。摂取量を治療前と同じ水準に戻すと、消費とのバランスが崩れやすくなります。

生活習慣が治療前に戻る

治療の効果は、食事療法・運動療法と併せて得られていることが前提になっています。PMDAが示す最適使用推進ガイドラインでは、投与前提として治療計画に基づく食事療法・運動療法を6ヶ月以上実施していることや、投与中も2ヶ月に1回以上の頻度で管理栄養士による栄養指導を受けることが位置づけられています。治療をやめたあとに、この食事療法・運動療法まで途切れてしまうと、体重が戻りやすくなる一因になり得ます。

治療の種類でリバウンドの起こり方は異なる

医療痩身と一口にいっても、体重全体に働きかける薬物療法と、体の一部の脂肪の厚さに働きかける施術とでは、リバウンドの考え方が異なります。両者を同じ尺度で比べることはできません。

薬物療法の場合

GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬など、肥満症の承認適応を持つ薬剤は、体重全体に働きかけます。投与を終えれば体重が戻る可能性があるという前提で、治療後の生活も含めて計画される薬剤です。

局所に働きかける施術の場合

脂肪冷却機器のように、皮下脂肪を冷却して減少させる施術は、体重の増減を目的とした治療とは前提が異なります。国内で承認されている脂肪冷却機器の使用目的には「体重の減少を意図するものではない」と記載されています。そのため、施術後に体重そのものが増えれば部分的な変化が分かりにくくなる可能性はありますが、これは薬物療法における体重のリバウンドとは別に考える必要があります。

「医療痩身でリバウンドしない」という説明の注意点

「脂肪細胞の数が減るから、もう体重は戻らない」といった説明を見かけることがあります。脂肪細胞の数や大きさの変化を扱う研究はありますが、体重を維持できるかどうかは、その後の食事や活動量、個人の体質など複数の要因が関わります。脂肪細胞に関する説明だけを根拠に、体重が戻らないと言い切ることはできません。

同様に「体質が変わるから戻らない」といった説明も、どのような研究や条件に基づく内容なのかを確認する視点が大切です。特定の治療を紹介する文脈で見かけた場合は、対象者の条件、観察期間、追跡できた人数など、根拠となる情報が示されているかを確認してください。

医療痩身の治療をいつ終えるかは医師が判断する

医療痩身の治療をいつ終えるかは、決められた期間が来たら自動的に終わるものではなく、経過を踏まえて医師が判断します。

肥満症治療薬として承認されているセマグルチド製剤(ウゴービ皮下注)は投与期間の上限が68週、チルゼパチド製剤(ゼップバウンド皮下注)は72週とされています。PMDAの最適使用推進ガイドラインでは、投与開始後3〜4ヶ月投与しても改善傾向が認められない場合は中止すること、また十分な効果が得られた場合は上限の週数を待たずに中止し、食事療法・運動療法のみによる管理を考慮することとされています。

一方で、投与を中止することで健康障害が悪化したり、リフィーディング症候群(急な栄養摂取の再開に伴う体調の変化)をきたしたりする可能性があるとも位置づけられています。使用を続けるかどうか、いつ終えるかは、自己判断ではなく医師の管理のもとで決めることが前提です。

医療痩身の治療中からできることはある?

治療の効果を土台として、治療中から取り組めることもあります。極端な食事制限のような無理な方法ではなく、続けやすい形で行うことが基本です。

  • 医師や管理栄養士から示された食事療法・運動療法の計画を続けること
  • 体重や食事内容など、変化を振り返れる記録をつけること
  • 承認された治療では、2ヶ月に1回以上の頻度で管理栄養士による栄養指導を受けることが投与の前提として位置づけられています
  • 睡眠や活動量など、生活リズム全体を見直すこと

医療痩身で体重が戻ってきたときに確認したいこと

治療後に体重の増加が気になったときは、自己判断で薬の量を増やしたり、以前と同じ量で再開したりしないことが大切です。PMDAのガイドラインでは、中止後に肥満症の悪化が認められた場合の再投与についても、医師の判断によるとされています。気になる変化があれば、まずは治療を受けた医療機関を受診し、現在の状態を確認したうえで今後の方針を相談してください。

医療痩身の薬の中止後に体重が戻ることを示した研究はある?

薬物療法を中止したあとの体重の変化を調べた海外の臨床試験があります。いずれも国際共同試験であり、日本国内で承認されている用法・用量や投与期間の枠組みとは条件が異なる点に注意が必要です。

試験 薬剤・用量と対象 結果
STEP1試験の延長解析 セマグルチド2.4mgを68週投与 治療と生活習慣介入の中止から1年後に、減少した体重の約3分の2にあたる分を再び増加したと報告されています
SURMOUNT-4試験 チルゼパチドを36週投与後、無作為にプラセボへ切り替え 36週から88週にかけて、中止(プラセボ切替)群は体重が平均14.0%増加し、投与継続群は平均5.5%減少したと報告されています

いずれも海外を含む国際共同試験であり、対象、用量、投与期間が国内の承認条件と異なるため、数値をそのまま日本国内の治療にあてはめることはできません。

医療痩身に関するよくある質問

検索や体験談で見かけやすい疑問について、確認しておきたい点を整理します。

薬をやめたらすぐに戻りますか?

戻り方には個人差があり、すぐに変化が現れる場合もあれば、時間をかけて徐々に変化していく場合もあります。数値は試験ごとに条件が異なるため、一律に何週間で何kg戻るとはいえません。気になる変化があれば、治療を受けた医療機関に相談してください。

リバウンドしやすいのはどのような場合ですか?

投与終了後に食事療法・運動療法を続けなかった場合や、体重減少に応じた食事量・活動量へ調整せず、以前と同じ食生活に戻した場合などが挙げられます。生活習慣だけでなく、体重減少に伴う代謝の変化も関わるため、単一の原因では説明できません。

治療をやめる目安はどのように判断されますか?

承認された肥満症治療薬では、投与開始後3〜4ヶ月で改善傾向が見られない場合の中止基準や、投与期間の上限(製剤により68週間または72週間)が設けられています。十分な効果が得られた場合は、上限を待たずに中止し、食事療法・運動療法のみでの管理へ移行することも考慮されます。いずれも医師が経過を見ながら判断する事項です。

脂肪冷却などの施術を受けたあとに体重が増えるとどうなりますか?

脂肪冷却機器は体重の減少を目的とした治療ではなく、部分的な皮下脂肪の厚さに働きかけるものです。施術後に体重そのものが増えれば、狙った部位の変化が分かりにくくなる可能性はありますが、これは薬物療法における体重のリバウンドとは別に考える必要があります。

まとめ

医療機関で行う痩身治療であっても、治療を終えたあとに体重が戻ることはあります。薬をやめれば薬の作用がなくなること、体重の減少に伴って消費エネルギーが変化すること、食事療法・運動療法が治療前の状態に戻ってしまうことなど、複数の要因が関わるためです。体重全体に働きかける薬物療法と、局所の脂肪の厚さに働きかける施術とでは、リバウンドの考え方も異なります。「脂肪細胞の数が減るから戻らない」といった説明を見かけても、根拠や条件を確認する視点を持つことが大切です。治療をいつ終えるか、体重が戻ってきたときにどうするかは、自己判断ではなく医師の管理のもとで相談しながら決めていくことが基本になります。

参考・出典

PMDA 最適使用推進ガイドライン セマグルチド(ウゴービ皮下注) https://www.pmda.go.jp/files/000281140.pdf

PMDA 最適使用推進ガイドライン チルゼパチド(ゼップバウンド皮下注) https://www.pmda.go.jp/files/000280607.pdf

肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント https://www.pmda.go.jp/files/000275251.pdf

PMDA クールスカルプティング(脂肪冷却機器)添付文書一式 https://www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/112130/22900BZX00410000_A_02_01/

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