医療痩身の部分痩せとは?できることとできないこと、施術の選び方を解説
「気になる部位だけ細くしたい」と考えたとき、医療痩身の広告でよく見る「部分痩せ」が具体的に何を指しているのか分かりにくいことがあります。
医療痩身でいう部分痩せは、体重そのものを減らす治療ではなく、施術した部位の皮下脂肪の厚さや見た目に働きかける治療を指します。
体重に働きかける治療については『医療痩身 全身』で詳しく解説しているため、この記事では部分痩せに絞り、できること・できないこと、報告されている変化の程度、副作用やリスクまで整理します。
この記事の要約
- 医療痩身の部分痩せは体重を減らす治療ではなく、施術部位の皮下脂肪の厚さや外観に働きかける治療です。
- 食事制限や運動だけで特定部位の脂肪を狙って減らせるかは学術的に議論が続いており、結論は定まっていません。
- 部分痩せを目的とした施術には脂肪冷却、脂肪溶解・脂肪破壊注射、外科的な治療などがあり、機序や国内承認状況が異なります。
- 脂肪冷却では海外臨床試験で脂肪層の厚みの変化が報告されていますが、体重ではなく脂肪層厚の変化であり、条件が限られた結果である点に注意が必要です。
- 施術には適応部位や禁忌、副作用があり、選ぶ際は機器や薬剤の名称、国内承認状況、費用、解約条件などを事前に確認することが大切です。
医療痩身でいう部分痩せとは何を指す?
医療痩身の広告や紹介ページでは「部分痩せ」という言葉がよく使われますが、これは体重計に表れる体重の減少を指す言葉ではありません。
例えば脂肪冷却の医療機器は、添付文書上の使用目的が「部分的に皮下脂肪を冷却し、減少させる装置であり、体重の減少を意図するものではない」と定められています。つまり医療痩身でいう部分痩せとは、施術した部位の皮下脂肪の厚みや外観の変化を目的とした治療であり、体重という数値そのものを動かす治療とは区別して考える必要があります。
食事制限や運動だけでは難しいとされる理由は?
特定の部位だけを狙って脂肪を減らせるかどうかは、食事や運動に関する研究の中でも意見が分かれるテーマです。
食事制限や有酸素運動、筋力トレーニングは全身の体脂肪量を減らすうえで有効な方法とされていますが、腹部だけ、二の腕だけといったように、脂肪の減り方を特定の部位に指定できるかどうかは、研究者の間でも議論が続いています。運動によって特定の部位の脂肪だけを優先的に減らせるという考え方を裏づける結論は定まっておらず、一般的な減量では脂肪の減り方を部位ごとに指定することが難しいとされています。医療痩身で行われる施術は、こうした背景から特定の部位に直接働きかける方法として位置づけられています。
部分痩せを目的に行われる主な医療痩身施術
部分痩せを目的とした施術にはいくつかの種類があり、脂肪への働きかけ方(機序)がそれぞれ異なります。名称が似ていても仕組みが違うため、混同しないことが大切です。
脂肪冷却
脂肪冷却は、専用の医療機器を用いて皮下脂肪を経皮的に(皮膚の上から)冷却し、脂肪層の厚みを減少させることを目的とした治療です。国内で承認されている脂肪冷却機器の添付文書では、使用目的が皮下脂肪を冷却して減少させる装置とされており、脂肪を溶かす(溶解する)治療ではありません。
脂肪溶解・脂肪破壊注射
脂肪溶解・脂肪破壊注射は、薬剤を注入して脂肪細胞などに作用させることを目的とした治療で、脂肪冷却のような「冷却」「凍結」の機序とは異なります。脂肪溶解を目的として国内で承認されている注射剤があるかどうかは、本記事の調査範囲では確認できていません。使用する製剤の一般名・販売名、国内での承認状況が確認できない場合、効果や副作用を具体的な数値や表現で断定することはできません。未承認の医薬品等を用いる場合、自由診療であること、未承認であること、入手経路、国内の承認医薬品の有無、諸外国における安全性情報、医薬品副作用被害救済制度の対象にならないことの5項目を明示することが求められています。施術を検討する際は、クリニックでこれらの点を確認してください。
外科的な治療
脂肪吸引などの切開を伴う外科的な治療も、部分痩せを目的として行われることがあります。外科的な治療は麻酔や出血、術後の腫れなど、注射や機器による治療とは異なるリスク開示が必要になるため、この記事では概要にとどめ、詳細は個別に確認することをおすすめします。
医療痩身で報告されている変化の程度
部分痩せの施術でどの程度の変化が起こるかは、対象となる治療や試験の条件によって異なります。ここでは脂肪冷却機器の添付文書に記載されている海外臨床試験の結果を条件つきで紹介します。
海外で実施された臨床試験では、腹部への施術後16週目に脂肪層の厚みが平均1.9mm減少したと報告されています。また、施術前後の写真を評価者が正確に識別できた割合は85.3%でした。この結果は60例(うちアジア人2例)を対象とした試験によるものであり、体重の変化ではなく脂肪層の厚さの変化を評価したものです。人によって結果には差があるため、一律の変化を保証するものではありません。
医療痩身の回数と間隔の目安
施術の回数や間隔は、使用する機器や薬剤、部位の状態によって異なります。ここでは脂肪冷却機器の一般的な取り扱い上の記載を紹介します。
脂肪冷却では、施術後2ヶ月を目安に効果を確認したうえで、次の施術を検討することとされています。また、同一部位への施術は、間隔をあけても2回までを上限とし、それを超えて繰り返し施術を行った場合の安全性は確認されていないとされています。実際の回数や間隔はクリニックのプランによっても異なるため、診察で確認してください。
医療痩身の施術できる部位とできない部位
部分痩せの施術には、適した部位と適さない部位があります。使用する機器によって適応部位は異なるため、以下は脂肪冷却機器の添付文書に基づく一般的な記載例です。
| 部位 | 扱い |
|---|---|
| 上腕内側部 | 適さない部位とされる |
| 膝窩部(膝の裏) | 適さない部位とされる |
| 顔・頭部・頸部 | 適さない部位とされる |
| 生殖器・鼠径部・腋窩部・肘窩・手掌部・足部 | 適さない部位とされる |
| 開放創や感染創がある部位 | 使用しない |
| 末梢循環障害のある部位 | 使用しない |
| 皮下脂肪の厚さが1cm未満の部位 | 使用しない |
適応部位は使用する機器や薬剤によって異なるため、実際に施術を検討する際はクリニックの診察で確認してください。
医療痩身の副作用や注意点
医療痩身で起こることがある副作用・リスク
部分痩せの施術には、機器や薬剤に応じたさまざまな副作用やリスクが説明事項として挙げられています。
脂肪冷却では、重大な有害事象として深部静脈血栓症と逆説的過形成が挙げられています。逆説的過形成は、施術部位の脂肪組織が想定と異なる形で増加する事象で、永続的な変化となり、改善のためには外科的な処置が必要とされています。2015年1月〜2021年8月の海外市販後調査では、逆説的過形成の発現率は0.033%と報告されていますが、これは海外での調査結果であり、日本国内での発現率を示すものではありません。このほか、施術部位の疼痛や感覚の変化など、一時的な症状が起こることもあります。副作用がない治療ではないことを踏まえたうえで検討してください。
医療痩身の施術を受けられない可能性があるケース
持病や体調によっては、部分痩せの施術を受けられない、または慎重な対応が必要になる場合があります。
脂肪冷却では、クリオグロブリン血症、寒冷凝集素症、発作性寒冷血色素尿症のある方は禁忌とされています。また、寒冷過敏症、皮膚感覚障害、出血性疾患や抗凝固薬の使用、施術部位の瘢痕やヘルニア、神経障害などがある方は慎重な適用が必要とされています。妊娠中・授乳中の方や小児については使用経験がなく、安全性が確立されていません。持病や服薬状況によって施術を受けられるかどうかは異なるため、自己判断はせず、診察で医師に確認することが必要です。
医療痩身で体重を減らしたい場合は?
体重の変化を目的とする場合は、部分痩せとは異なる治療を検討することになります。
部分痩せの施術は、あくまで施術した部位の皮下脂肪の厚みや外観への働きかけを目的とした治療であり、体重そのものを減らす治療とは目的が異なります。体重の変化を目的とする場合は、食事や運動に加えて、体重に働きかけることを目的とした医療痩身の治療を検討することになります。こうした治療の種類や仕組み、リスクについては『医療痩身 全身』で詳しく解説しているので、あわせて確認してください。
医療痩身施術を選ぶときに確認したいこと
部分痩せの施術を検討する際は、施術名や症例写真だけで判断せず、次のような点を確認しておくと安心です。
- 使用する機器・製剤の名称と国内での承認状況
- 施術の適応部位と、自分の状態に適しているか
- 想定される副作用やリスク
- 必要な回数と施術の間隔の目安
- 総額と追加費用がかかる場合の条件
- 途中でやめる場合の解約条件
国民生活センターの公表資料では、美容医療サービスに関する相談件数が2022年度に3,709件と過去5年で最多になったことが示されており、その場で契約を迫られたという相談が多いことから、即日の契約を避けることが助言されています。無料相談やカウンセリングの場であっても、その場で契約を決めず、内容を持ち帰って検討する時間を確保することも大切です。
医療痩身の部分痩せに関するよくある質問
部分痩せに関してよく寄せられる疑問を整理しました。個別の状態については診察で確認してください。
部分痩せの施術で体重は減りますか?
部分痩せを目的とした施術の多くは、施術部位の皮下脂肪の厚みや外観への働きかけを目的としており、体重そのものの減少を目的とするものではありません。体重の変化を確認したい場合は、施術内容が何を目的としているかをクリニックで確認してください。
顔の部分痩せはできますか?
使用する機器や薬剤によって適応部位は異なります。脂肪冷却機器の中には、顔・頭部・頸部を適さない部位としているものもあります。顔の施術を検討する場合は、使用する機器や薬剤が顔への使用に対応しているかを診察で確認する必要があります。
施術後すぐに効果は分かりますか?
皮下脂肪の厚みの変化は、施術直後に確認されるものではなく、一定の期間を経てから評価されます。脂肪冷却では、施術後2ヶ月を目安に効果を確認したうえで次の施術を検討することとされています。
施術は保険が適用されますか?
部分痩せを目的とした医療痩身の施術は、多くの場合自由診療となり、公的医療保険は適用されません。費用や総額の考え方はクリニックによって異なるため、事前の説明で確認してください。
まとめ
医療痩身でいう部分痩せは、体重を減らす治療ではなく、施術した部位の皮下脂肪の厚さや外観に働きかける治療です。食事制限や運動だけで特定の部位の脂肪を狙って減らせるかどうかは学術的な結論が定まっておらず、こうした背景から脂肪冷却や脂肪溶解・脂肪破壊注射、外科的な治療といった選択肢が用いられています。海外臨床試験では脂肪層の厚みの変化が報告されていますが、体重の変化ではなく、対象人数や条件が限られた結果である点には注意が必要です。施術には適応部位や禁忌、深部静脈血栓症や逆説的過形成といった副作用のリスクもあるため、使用する機器や薬剤の名称、国内での承認状況、費用や解約条件を事前に確認し、その場での契約を急がず、診察のうえで検討することが大切です。
参考・出典
PMDA クールスカルプティング 添付文書 https://www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/112130/22900BZX00410000_A_02_01/
厚生労働省 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第5版) https://www.mhlw.go.jp/content/001439423.pdf
国民生活センター 公表資料(2023年8月30日) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20230830_1.html