フラクショナルレーザーはニキビ跡に効果がある?仕組みと回数目安
ニキビ跡の凹凸が気になり、「フラクショナルレーザーでどこまで改善できる?」「何回くらい受ければいい?」「ダウンタイムはどのくらい続く?」と気になっている方もいるでしょう。
フラクショナルレーザーは、皮膚に微細な孔を作り、創傷治癒反応によってコラーゲンの新生や入れ替わりを促す治療法です。主にクレーター状の陥凹性ニキビ跡に用いられますが、すべてのニキビ跡に適しているわけではなく、深い凹みでは十分な変化が得られない場合もあります。また、複数回の施術が必要になることがあり、赤みや腫れ、色素沈着などのリスクにも注意が必要です。
この記事では、フラクショナルレーザーがニキビ跡に働きかける仕組みや期待できる効果、施術回数・間隔の目安、ダウンタイム、副作用・リスク、他の治療との違いまで詳しく解説します。治療を検討している方は、自分のニキビ跡に合った方法を考える際の参考にしてください。
この記事の要約
- フラクショナルレーザーは微細な孔から創傷治癒反応を起こし、コラーゲンの入れ替わりを促す治療法です。
- 主な対象は陥凹性瘢痕で、赤みや色素沈着が主体の跡には別の治療が検討されます。
- 「跡が消える」と断定はできず、深い瘢痕では変化が限られる場合もあります。
- 報告では3〜4週間おきに3〜4回程度行う例が紹介されていますが、回数は跡の状態で変わります。
- 赤みや腫れなどのダウンタイムがあり、妊娠中や強い炎症時は施術を見合わせる場合があります。
ニキビ跡に効果的な「フラクショナルレーザー」とは
フラクショナルレーザーは、皮膚に無数の微細な孔を規則的に作り、創傷治癒反応を利用してコラーゲンの入れ替わりを促す治療法です。まず仕組みと対象となる跡のタイプを確認しましょう。
「フラクショナル」は、皮膚全体を一様に照射するのではなく、点状に区切って照射することを指します。照射されなかった周囲の皮膚が回復の足場として残るため、全面に照射する方法に比べてダウンタイムを抑えやすいとされています。機器にはCO2レーザーやEr:YAGレーザーなど複数の種類があり、到達する深さや熱の加わり方が異なります。
機器の種類によって、皮膚の水分に吸収されやすい波長を使うものと、より深部まで届く波長を使うものがあり、同じ「フラクショナル」でも到達する深さが異なります。名称だけでは違いが分かりにくいため、どの機器をどの設定で使うのかを確認しておくと、経過の説明も理解しやすくなります。
微細なレーザー照射で入れ替わりを促す仕組み
レーザーが皮膚のごく一部に微細な孔を作ると、その部分を修復しようとする創傷治癒反応が起こり、コラーゲンの新生や入れ替わりが促されると考えられています。フラクショナルCO2レーザーに関する報告でも、この機序をもとにした治療効果が検討されています。
この反応は一度に完結するものではなく、コラーゲンが入れ替わって落ち着くまでには時間がかかるとされています。そのため、施術の間隔をあけながら複数回に分けて行う方法が採られます。照射の密度や深さは機器の設定で調整され、同じ機器でも設定によって肌の反応やダウンタイムの程度が変わります。
照射の密度を上げれば1回あたりの働きかけは強まりますが、その分だけ赤みやかさぶたの程度も強くなります。1回で強く行うか、控えめな設定で回数を重ねるかは、生活の予定や肌の反応を踏まえて調整される部分です。初回は控えめな設定から始め、反応をみて次回以降を決める進め方がとられることもあります。
対応するニキビ跡のタイプ
主な対象は皮膚がへこんで見える陥凹性瘢痕です。赤みや色素沈着が主体の跡は成り立ちが異なるため、フラクショナルレーザー以外の治療が検討される場合があります。
陥凹性瘢痕のなかでも、浅く広がった凹みと、深く狭い凹みでは反応が異なり、深いものではサブシジョンなど別の手技を組み合わせることがあります。また、活動性のニキビが多く残っている段階では、まず炎症のコントロールを優先する判断がとられることもあります。自分の跡がどのタイプかは見た目だけでは判断が難しいため、診察で確認してください。
赤みや色素沈着が混在している場合は、どちらを先に扱うかで進め方が変わります。凹凸に対する治療の過程で一時的に色素沈着が出ることもあるため、目的の優先順位を決めてから始めるほうが、途中で判断に迷いにくくなります。
毛穴の開きや肌のきめの乱れが気になる場合も、陥凹性瘢痕と同じ治療の対象として提案されることがあります。ただし目的が違えば設定も変わるため、何を優先したいかを伝えておくことが大切です。
フラクショナルレーザーのニキビ跡治療で期待できる効果
「跡が消える」というものではなく、凹凸が緩和される可能性が報告されています。ただし深い瘢痕では変化が限られる場合もあり、効果には個人差があります。
陥凹性瘢痕に対する光治療を比較した報告では、フラクショナルCO2レーザーを含む複数の治療法が比較され、施術後に評価スコアの改善がみられたとされています。一方で、非CO2レーザーとの間に明確な差が確認されなかったとする報告もあり、さらなる検証が必要とされています。
フラクショナルCO2レーザーと非CO2レーザーを比較したメタアナリシスでは、観察者による評価、患者自身による評価、色素沈着の発生率のいずれについても両者に有意差は認められず(p=.19、p=.91、p=.69)、さらなるエビデンスが必要と結論づけられています。機器の名称だけで優劣を判断できる段階ではないため、広告や症例写真の印象ではなく、自分の跡に対してどのような変化が見込めるかを診察で確認することが大切です。
フラクショナルレーザーで想定されるニキビ跡治療の回数と間隔
報告では3〜4週間の間隔で3〜4回程度施術する例が紹介されていますが、跡の深さ・範囲・出力によって必要な回数は変わり、一律に断定できるものではありません。詳しい回数の考え方は「ニキビ跡 何回で治る」もあわせてご確認ください。
間隔をあけるのは、前回の照射で生じた反応が落ち着き、皮膚が回復する時間を確保するためです。予定より間隔が延びた場合でも、それまでの施術が無駄になるわけではないため、自己判断で詰めずに次回の診察で調整方法を相談してください。なお日本皮膚科学会のガイドライン2023では、萎縮性瘢痕へのレーザー治療は推奨度C2(行ってもよいが推奨はしない)とされ、国内では保険適用がなく複数回の施術が必要と位置づけられています。回数分の費用が積み上がる点も含めて計画を立てる必要があります。
回数の見通しは、途中で変わることもあります。想定より反応が良ければ回数を減らす判断もあり得ますし、深い陥凹が残っていれば追加が提案されることもあります。あらかじめ回数分をまとめて契約する場合は、残った回数の扱いや有効期限についても確認しておくと、後から困りにくくなります。
フラクショナルレーザーのダウンタイムと術後の経過
施術後は赤み、腫れ、かさぶた、皮むけなどが生じることがあります。程度や続く日数には個人差があるため、幅を持って考えておくとよいでしょう。
照射の密度や深さを高く設定するほど、赤みやかさぶたの程度は強く出やすい傾向があります。かさぶたは無理にはがすと色素沈着や傷跡につながる可能性があるため、自然に落ちるまで触れないことが基本です。この期間は摩擦や熱の刺激を避け、処方された外用や保湿の指示に沿って過ごします。仕事や予定に影響が出そうな場合は、施術日の設定をあらかじめ相談しておくと調整しやすくなります。
経過の見通しを立てるうえでは、いつからメイクができるか、いつから普段のスキンケアに戻せるかを施術前に具体的に聞いておくと、予定を組みやすくなります。赤みが引くまでの日数は、照射の設定だけでなく、その後の紫外線や摩擦の状況にも左右されます。
フラクショナルレーザーの副作用・リスク
フラクショナルレーザーの主なリスクとして、次のようなものが挙げられます。事前に把握しておくと安心です。
- 炎症後色素沈着(レーザーの種類によって発生率に差があるとする報告があります)
- 感染
- 赤みが通常より長く続くこと
- かさぶたを無理にはがしたことによる傷跡
- 施術部位のかゆみや乾燥
炎症後色素沈着については、フラクショナルCO2レーザーで約9.9%とする報告があり、まれとは言い切れません。もともと日焼けしやすい肌質の人や、施術の前後に紫外線を浴びた場合はリスクが高まると考えられているため、遮光は施術後だけでなく施術前から意識しておくことが役立ちます。異変を感じたときにすぐ相談できる体制があるかどうかも、事前に確認しておきましょう。
副作用が出た場合の対応についても、事前に聞いておくと安心です。塗り薬の処方や追加の診察が費用に含まれるのか、別途かかるのかはクリニックによって異なります。
フラクショナルレーザーが受けられない可能性があるケース
肌の状態や体質によっては、施術を見合わせる、または慎重に判断する場合があります。
- 妊娠中・授乳中
- 強い炎症が起きている部位
- ケロイド体質
- 強い日焼けの直後
- 施術部位に感染症の症状があるとき
ここに挙げたものがすべてではなく、服用中の薬や過去の施術歴、傷跡の残りやすさによっても判断は変わります。あてはまるかどうかを自分で決めず、既往歴や服薬状況を正確に伝えたうえで、最終的な適応は診察で確認する必要があります。施術を見合わせる場合でも、外用治療など別の選択肢が提案されることがあります。
フラクショナルレーザーの施術前後の注意点
施術の効果を活かし、リスクを抑えるために、前後で次のような点に気をつけます。
- 施術前後の日焼けを避ける
- 処方された保湿・スキンケアを行う
- 紫外線対策を継続する
- 施術当日は激しい運動や飲酒、長時間の入浴を控える
- かさぶたを無理にはがさない
紫外線対策は、施術直後の数日だけでなく、赤みが引いたあとも続けることが色素沈着を抑えるうえで役立ちます。日焼け止めに加えて、帽子や日傘で物理的に遮る方法も併用しやすい工夫です。また、施術の前後に使えるスキンケアの範囲はクリニックによって案内が異なるため、普段使っている化粧品を続けてよいかどうかも確認しておくと迷いにくくなります。
施術当日は、洗顔やクレンジングの方法も普段と変える必要が出てきます。指示された洗い方をいつまで続けるのかまで確認しておくと、自己判断で元に戻してしまうことを避けられます。
フラクショナルレーザーと他の治療との違い
ダーマペンとの違いは「ダーマペン フラクショナル 違い」、ピコレーザー・M22との違いは「ピコレーザー M22 違い」で詳しく解説しています。いずれも仕組みや対象とする跡が異なるため、自分の跡に合った治療かどうかを確認することが大切です。
選ぶ際の軸は、狙う跡の種類、ダウンタイムをどの程度許容できるか、通える頻度の3つに整理すると考えやすくなります。同じ悩みでも、色素が主体か凹凸が主体かで適した機器は変わり、機器の新しさと自分に合うかどうかは別の問題です。複数の治療を組み合わせる提案を受けた場合は、それぞれの目的と順番を確認しておくと納得して進めやすくなります。
同じ悩みに対して複数の選択肢が提示されたときは、それぞれのダウンタイムと通う回数を並べて比べると判断しやすくなります。費用の総額だけでなく、生活への影響も含めて比較することが、続けられる治療を選ぶうえで役立ちます。
気になる治療名がある場合は、その名前を出して相談して構いません。ただし、別の方法が提案されたときは、その理由を確認しておくと納得して選びやすくなります。名称の知名度と、自分の跡への適合は別のものです。
よくある質問
フラクショナルレーザーの効果の出方やダウンタイム中の過ごし方について、検索で多く見られる疑問を取り上げて回答します。
1回でも効果はありますか?
1回の施術でも肌のきめや浅い凹みに変化を感じる場合はありますが、多くの報告では複数回の施術を重ねて経過をみています。1回で完了するとは限りません。とくに深い陥凹では1回あたりの変化が小さく、回数を重ねてはじめて差が分かることもあります。初回で手ごたえが乏しくても、その反応をもとに次回の設定を調整していく進め方が一般的です。
また、変化の感じ方は見る条件にも左右されます。照明の当たり方や角度が変わるだけで印象は変わるため、比べるときは条件をそろえることが大切です。
ダウンタイム中にメイクはできますか?
赤みやかさぶたの状態によって、メイクで隠せるかどうかは変わります。施術直後は刺激を避け、クリニックの指示に従うことが大切です。かさぶたが残っている段階では、クレンジングでこすることが刺激になりやすいため、落とすときの方法まで含めて確認しておくと安心です。大切な予定がある場合は、逆算して施術日を決める方法もあります。
施術後しばらくは、日焼け止めをどの段階から使えるかも確認しておきたい点です。メイクより先に紫外線対策が必要になる場面もあります。
まとめ
フラクショナルレーザーは、微細な孔から創傷治癒反応を起こし、コラーゲンの入れ替わりを促すことで、陥凹性瘢痕の凹凸を緩和する可能性がある治療法です。ただし「跡が消える」ものではなく、深い瘢痕では変化が限られることもあり、報告のうえでも非CO2レーザーとの明確な差が確認されていない点には留意が必要です。回数や間隔にも個人差があり、一律の目安として受け取らないことが大切です。
ダウンタイムや副作用にも個人差があり、妊娠中やケロイド体質など施術を見合わせるべきケースもあります。ダーマペンやピコレーザー・M22など他の治療との違いも踏まえ、自分の跡に合った選択肢かどうかを診察で確認してください。
参考・出典
フラクショナルCO2レーザーのメタアナリシス https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33190373/
陥凹性ニキビ跡に対する6種の光治療のネットワークメタアナリシス(Wang et al., Indian J Dermatol Venereol Leprol 2023) https://ijdvl.com/comparative-efficacy-and-safety-of-six-photoelectric-therapies-for-the-atrophic-acne-scars-a-network-meta-analysis/
日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/zasou2023_230820.pdf